2025.11.17教育情報中学生小学生
「家でもやっているのに、なかなか成績が上がらないんです…」
保護者の方からよくいただくご相談です。
努力している姿を見ているからこそ、「これだけやっているのになぜ…」という気持ちになるのは当然です。
しかし、実はこの“伸びない期間”こそが、学習においてもっとも重要な時期です。
今日、小学校6年生の国語の授業で扱った文章に、まさにその核心が書かれていました。
文章は、幼児がことばを習得するプロセスをもとに、人間が何かを学ぶときの「伸びない期間」の意味について説明しています。
幼児は、毎日たくさんの言葉に触れていても、すぐには話し始めません。それは、理解が遅いのではなく、脳が情報を整理し、意味として扱えるようになるための“熟成期間”が必要だからです。
そして、その期間を越えたとき、突然単語が出たり、二語文が出てくるという急激な成長が始まります。
この流れは、実は勉強とまったく同じです。学習が苦手な子ほど、まずは“大量にやる経験”が少ないため、情報を処理して整理するまでに時間がかかります。
この構造を理解してもらえると、子どもの学習をどのように支えれば良いのかがぐっと見えやすくなります。
勉強が苦手な子の特徴として共通しているのが、
「大量にやる経験そのものが少ない」
ということです。
問題を読む、書く、覚える、考える、間違えたときに直す。こうした一つひとつの学習行動は、すべて“経験値”です。
しかし、これまで学習習慣がなかった子や勉強に触れる時間が短かった子は、この経験の量が圧倒的に不足しています。
経験が少ないということは、脳の中に“引き出し”がほとんどない状態です。そのため、どんな問題を見ても“初めてのもの”として処理されてしまい、理解するにも時間がかかります。
大量にやる経験が少ない子が、突然できるようになることはほとんどありません。最初に必要なのは、地道に、そしてある程度の量をこなすことです。
その量が、脳にとっての“材料”になります。材料が増えることで、脳は少しずつ分類し、結びつけ、整理し、やがて意味として扱えるようになります。
だからこそ、まずは“量をこなすこと”が重要になります。質はその後でついてきます。学習経験の少ない子ほど、最初は量を確保することでのみ、脳の内部に必要な材料が集まり始めます。
大量にやっているのに成果が見えない。これは、多くの保護者がもっとも不安に感じるところだと思います。
しかし、文章の中でも「整理に時間がかかる」と表現されていたように、脳はインプットした情報をすぐには使いこなせません。
言語習得においても、幼児は大量に言葉を聞いているのに、話すまでに時間がかかります。
それは、脳の中で言葉の意味や使い方が整理され、つながり、必要な形に“熟成”されるまで、静かな時間が必要だからです。
勉強もまったく同じです。
こうした変化は、表からでは見えません。
外から見える変化がないだけで、内部では確実に変化が起きています。そして、その熟成期間を越えると、一気に理解できるようになったり、解けなかった問題が急に解けるようになったりすることがあります。
これは偶然ではありません。
脳の内部で“材料がそろい、意味として扱える状態になった”ときに起こる、ごく自然な現象です。
だからこそ、伸びない期間は「無駄な期間」ではなく、むしろ「伸びるために絶対に必要な期間」なのです。
ここで非常に大切なのが、学習は“早くから始めるほど伸びやすい”という事実です。
学習経験が少ない子どもは、脳が情報を整理する力や問題を解く力、覚える力そのものを育てるところからスタートします。
これは決して悪いことではありません。ただ、“時間がかかる”ということを忘れてはいけません。
苦手が深まってから勉強を始めようとすると、
これらを同時進行でやらなければならなくなります。
当然、時間がかかります。だからこそ、「困ってから始める」よりも「困る前から始める」ほうが、圧倒的に伸びがスムーズになります。
スタートが早ければ早いほど、熟成期間にしっかり時間が使えます。学習の土台が築かれ、やがて“急に伸びる時期”を迎えたとき、その伸び幅は大きくなります。
大量にやっているのに成果が出ないと、子どもは「自分は向いていないのかもしれない」と思い込みがちです。
しかし、文章でも触れられていたように、人間は「続けたときにどのくらいの成果が出るか」を経験によって学習していきます。
努力しても成果が出ない時期は、実は“成果が出る直前”でもあります。熟成期間を越える直前ほど、外側からは伸びていないように見えるものです。ここで諦めてしまうことが、もっとももったいない。
保護者の方に意識してほしいのは、次のような関わりです。
このような関わりは、子どもが熟成期間を乗り越え、“伸びる期間”へ進む大きな支えになります。
子どもが勉強しても伸びない理由は、“努力が足りない”からではありません。むしろ、努力しているからこそ、今まさに“熟成の期間”にいるとも言えます。
学習は、やった分だけすぐに成果が出る直線型ではありません。大量の学習が、頭の中で整理され、意味として扱えるようになるまでには、必ず時間がかかります。
そして、その熟成を越えたとき、学習は階段を一段上るように伸びていきます。
さらに、学習は早く始めるほど伸びやすいという事実も忘れてはいけません。苦手が深まってから巻き返すには、基礎から積み直す必要があり、どうしても時間がかかります。
だからこそ、小学生の段階から学習習慣をつくり、経験値を積み重ねておくことが、未来の大きな伸びにつながります。
「こんなにやっているのに伸びない…」と感じる時期こそ、子どもが成長するためにもっとも大切な時期です。
ぜひ、ご家庭でも“見えない成長”を信じて支えていただければと思います。今日の積み重ねは、必ず未来で大きく花開きます。